学生が無事に入社してくれたし今回の採用は成功!
…実はこれ、間違いです。
今年も4月を過ぎ、街には多くの新入社員らしきスーツ姿の若者が多く見えるようになりました。
企業の採用支援・学生の就活支援に携わるものとして、この季節は特に感慨深い時期です。
「今年は新入社員もたくさん採用できたし、今後が楽しみだな!」そんな言葉を経営者から伺うこともあります。
しかし、企業は多くのリソースを投資して採用したのも束の間、本当に良い採用ができたとの結論を出すためには、入社から3年間が勝負です。
元気いっぱいで笑顔の新入社員。…3年後にはいないかもしれません
「せっかく採用できたのに、そんな水を差すようなことを言わなくても・・・」との非難の声もあがってきそうですが、
経営者・コンサルタントにとって大切なのは、事実と向き合うことです。
ここで、厚生労働省が毎年発表している、「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」を見てみましょう。
この調査は、学校を卒業して就職した人が、入社から3年以内に離職する率をまとめたものです。
この調査に基づくと、なんと中卒は約53%、高卒は約37%、短大卒は約43%、大学卒は約32%が3年以内に退職していることが分かります。
具体的に言えば、大卒の新入社員を3名採用した場合、「3人に1人が3年以内に退職する」というのが現実となります。
せっかくお金と時間をかけて採用し、研修を通して成長機会を与えても、3人に1人はやめてしまうのです。
規模の小さい中小企業では、約60%が新入社員が退職している
しかもこのデータ、さらに読んでいくと、中小企業の厳しい現状が見えてきます。そうです、「従業員規模が小さいほど離職率が高くなる」ことが調査で明らかになっています。
具体的には「1000人以上」の規模の会社の3年以内離職率は26.6%ですが、「5~29人」の規模では51.3%、なんと「5人未満」の規模では60.7%となっております。
業種別では宿泊・飲食業が離職に苦しんでいることが明らかに
業種別に見ていくと、「宿泊業・飲食サービス業」、「娯楽業」、「教育・学習支援」、「小売業」などの苦戦が見えます。
みなさんの会社の3年以内離職率は、業種平均と比べていかがでしょうか?
離職率が高いまま採用を続ける = 穴の空いたバケツに水をいれ続ける
離職率が高いまま、人手不足を解消するために採用をすることは、「穴の空いたバケツに水を入れ続けること」と同義です。
しかも、「水」を採用活動に言い換えると、採用関連の費用・関連する社員の人件費などをそのまま垂れ流していることになります。
人手不足に困っている経営者の皆様、まずは自身の会社の離職率の確認し、平均より明らかに高ければ、まず優先すべき打ち手は、「離職原因を1つ1つ特定・改善すること」かもしれません。